電源装置の製作

Arduino開発

1.電源製作

電源装置を製作しました。電源ユニットは,定格600Wの大容量電源です。最終的にケースに収め,電源線の本数が多いため端子台を介して電源ケーブルを引き出しました。電源装置の設計にあたり,いくつか注意をして設計を行いました。概ね,次の手順で仕様などを検討した後に,製作を行いました。

2.電源設計

1.電源に接続する負荷の消費電力(電圧,電流)の確認

まず,電源に接続される負荷(LED,蛍光灯,モーターなど)が,どのぐらい電力を消費するか,電圧や電流から確認します。LEDやモーターの場合,動作電圧と電流が仕様に書かれています。その最大の電圧,電流から消費電力を調べます。

 消費電力(W)=電圧(V) X 電流(A)

一台の電源に,複数個のLEDやモーターなどが接続される場合には,すべてを合わせた総消費電力を調べておきます。

2.電源の容量(W),電圧・電流の確認

次に,負荷を動かすために必要な電源の容量(W)を確認します。1.で求めた消費電力の1.2倍~1.5倍程度の電力が供給できる電源を選定します。仮に,負荷が最大で電力消費しても余裕を持って電源供給できるようにするためです。電源ユニットの仕様には,電源の容量(W)と一緒に電圧(V)と電流(A)があるので,動作させる負荷の電圧と電流も合わせて確認しておきます。

3.電源ボックス(横,幅,高さ,通線口の数,ABS/金属等素材,放熱など)

電源ユニットを何の細工もせず動かすと,感電や予期せぬ短絡,発火など危険性があります。そのため,一般的には電源ユニットをボックスに収納して使用します。ボックスは屋外用か屋内用,防水の有無,プラスチックや金属など,設置環境を考慮して選びます。問題は,ボックスのサイズです。ボックスの仕様には,縦・横・高さ(外寸)がありますが,通常,取り付け板に電源ユニットや装置を取り付けるので取り付け板の大きさも確認します。ボックスの高さは,取り付け板からボックスのフタまでの高さを確認しておかないと「フタがしまらない」といった事態になります。また,ボックスを密閉したときには内部に熱がこもるので,電源ユニットの仕様にあわせて,ケースとの距離を開けたり,ファンの排気ように通気口を開けます。

4.電源ケーブルの種類,太さ(AWG, sq),長さ

電源ユニットの仕様が確定したあとは,負荷に電源を供給するための電源ケーブルを選定します。電源ケーブルの芯線の太さ(断面積)によって流せる電流容量が決まります。ケーブルの規格にはAWG(American Wire Gauge)やsq(square,スケア)があります。たとえば,AWG20,0.5sqなどです。負荷に流す電流にあわせてケーブルを決めます。ケーブルの長さも重要です。電源ユニットと装置間を,あらかじめ計測して長さを決めていても,ケーブル加工に失敗したり,装置の位置を動かして長さが足りなくなることがあります。装置を設置する環境にあわせて少し長めに余長をとっておきます。

5.ケーブルの機材(絶縁端子,コネクタ,絶縁テープ,熱収縮チューブ)

電源ケーブルの終端(先)は,コネクタ(プラグやレセプタクル),端子などを取り付けて装置と接続します。このとき,コネクタや端子の種類に応じた工具があるので,それぞれ必要になります。ケーブルをむくためのワイヤストリッパー,むいた芯線に端子を取り付ける圧着工具などサイズや種類に応じて専用のものがあります。ケーブルをむいたあとには,芯線を保護するために熱収縮チューブを取り付けたり,絶縁テープをまきます。電源線の本数が多い場合には,電源ユニットから直接配線できないため端子台を使用します。電源用の端子台は,極数と電流などから使用する個数を決めます。端子台に流れる総電流は,それぞれの電源ケーブルに分配した電流の足し算になることに注意します。電源ケーブルの芯線には色がついており識別が可能ですが,一目で極性がわかるように,圧着端子の色(赤や黒,透明)を変えたり,テプラで+,ーの極性や電圧,GNDなどを貼り,誤って逆接しないようにわかりやすくしておきます。

6.通電試験

電源ボックスに電源ユニットや端子台,ケーブルの配線ができた後,いきなり電源を入れず,まず目視でケーブルの極性などに間違えがないか図面とあわせて確認します。その後,負荷をつながず通電のみをして,各ポイントで正常に電圧がでているかテスタで確認します。電源ユニット,端子台,ケーブル終端のように,電流の流れに沿って確認します。電源を入れた瞬間に,電圧が0Vを示したり,電源ユニットの保護回路が働いたり,電源コネクタで火花がちったり,電源ユニットやケーブルが高熱になった場合は,どこかが短絡(ショート)や逆接しています。また,テスタで+,ーの極性が逆に表示されたときには,テスタの+,ーを逆にしていたり,実際に配線が逆につながっていることがあります。

7.負荷試験

電源に接続する負荷が個別に接続できる場合は,一つずつ接続して電源を入れて確認します。最終的に,全てを接続して異常がないかを確認します。このとき,動作時の電圧をテスタで,電流をクランプメーターなどで測り記録します。それぞれ,電源ユニットや負荷の仕様にあった電圧,電流で動作しているかを確認します。

8.連続通電試験

負荷試験で問題がなければ,全ての負荷を接続して連続稼働させて,動作に異常がないか確認します。特に大電力で動かす場合は,試験中,目視で状態の確認ができるよう準備します。連続試験中は,定期的に電圧や電流,装置の温度や装置の動作状況などの変化を記録します。

 

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