ムーンタワー
ハニカムLEDディスプレイ技術(特許第6920750号)を球体に応用した「ムーンタワー」が完成しました。
「ムーンタワー」は長坂真護氏のアート作品の一つとして,エンジェルロードに一番近い小豆島国際ホテル「Mago Gallery Shodoshima」に展示されています。
「長坂真護氏は,世界的に問題となっている電気電子機器の廃棄物を用いた芸術品の創作や芸術活動を通じてアフリカガーナのスラム街の支援活動を行っている新進気鋭のアーティスト・社会活動家です。」
今回,ムーンタワーの球体部分(ハニカム球)の基本設計および実装,球体ディスプレイに投影する映像作成の開発を担当しています。
ムーンタワーは,ハニカムLEDディスプレイの技術をはじめとして,3Dプリンタによる先端テクノロジー,植物由来のバイオフィラメントの使用,ペットボトル廃材の再利用,ソーラーパネル発電により商用電源を使わず自律点灯を実現しています。最先端の技術が投入されたムーンタワーですが,エコで環境に配慮されているのは基より,ガーナの電子ゴミの問題やスラムの撲滅,世界平和といった社会メッセージを発信する象徴としての存在感があります。
ムーンタワーの球体は一見すると球状に見えますが,厳密には「1002面から成る多面体」で構成されています。
正確にゆがみなく多面体を形成するために,3次元CAD上において精密な計算を行って設計しています。
多面体の各面が均一な面発光をすることで,非常に少ない数のLEDで360度Viewの球体LEDディスプレイを作ることができます(特許出願中)。
ムーンタワーは低消費電力のため,日中に「ソーラーパネル」で発電して,日没後「蓄電池」の電力で毎日点灯されています。
ムーンタワーの映像
ムーンタワーには映像を流すことができます。月の満ち欠けや宇宙をイメージした映像など,さまざまな映像表現ができます。
さらには,インターネットのライブ配信,カメラやセンサ等と連動したインタラクティブ作品をはじめとしたメディアアートのプラットフォームとしても活用できます。
ハニカム球
ハニカム球を構成する一面ごとの画素(ハニカムボックス)は,球面上に正確に配置するために高精度の設計が必要になります。
3次元CAD上でハニカムボックスの設計をし,精度の高い3Dプリンタで造形をして一つずつ丁寧に仕上げています。
プロトタイプの製作段階では,1ボックスあたり18~22時間の造形時間がかかっています。
ハニカム球の表面には,LEDの光を拡散するための反射材が貼られています。
この反射材には,小豆島の浜に流れ着いたり,宿泊施設等で廃棄された「ペットボトル」を再利用しています。
ハニカム球を支える「柱」は,業務用の「超大型3Dプリンタ」で造形されています。
3Dプリンタのフィラメント(ペレット)には,環境にやさしい植物由来のバイオ樹脂を使用しています。
ハニカム球,並びに柱も含めて,すべて3次元CADでデジタル設計されており,ムーンタワー全体が3Dプリンタで造形されています。
ムーンタワーの全長は 7.5m,ハニカム球の直径は2.5mあり,3Dプリンタで一体造形された建造物としては日本最大級の大きさとのことです。
ハニカム球の模型
ムーンタワー建設前に,3Dプリンタでハニカム球のスケール模型を製作しています。
スケール模型は,1002面の多面体で球体が作れるか実証するために製作しました。
市販の3Dプリンタを24時間フル稼働させて・・・,1ヶ月程度かけて造形されています。
このスケールモデルを3次元CAD上で拡大することで,実寸大のハニカム球ができています。
ハニカム球の一部分を拡大してみると,ハニカムの六角形ばかりに見えますが,よく見ると「五角形」とその周辺に少し「いびつな六角形」が見つかります。
球面上には六角形の図形だけで充填(敷き詰め)できないことが知られていて五角形が決められた数含まれます。
ハニカム球はディスプレイのため,赤道付近が水平になり歪みが少なくなるよう多面体を設計しています。
自然の蜂は,平面または曲面上にハニカムの巣を作りますが,球体のときに「五角形」ができるのか興味深いところです・・・。
小豆島ムーンタワー制作プロジェクト
長坂真護 氏
MAGO CREATION 株式会社
有限会社 T.M.C
中西産業 株式会社
エス.ラボ 株式会社
上康工業 株式会社
株式会社 五百森鉄工所
永住建設 株式会社
株式会社 Good電工
徳島大学